布施山城

2020年 2月21日、布施山城跡に出向きました。

付近一帯が公園として整備されている「布施の溜」の近くに布施山山頂への登山路がありました。道筋は良く整備されており、立木が広く切り開かれているため、見晴らしは抜群です。

また、城跡遺構の案内板が充実しています。武士を象った道案内がたくさん立てられおり、登山者を山頂に導いてくれます。

登山路の途中からの眺め

山頂にる布施山城の主郭部

道筋と主郭部の様子
布施町、上羽田町、稲垂町にまたがる布施山

また布施山には玉緒山の別名がありあす。調べてみると、山頂に布施氏宗家(布施三河守)の山城ができるまでは玉緒山と呼ばれていたようです。さらに詳しく調べると山裾には玉緒山(玉尾山)の山号を持つ寺院などが点在しています。そしてそれは布引山を越え、永源寺町の甲津畑付近にまで及んでいます。

布施山と布引山の山間に位置する布引丘陵は、工業団地として開発が進んでいますが、以前は針葉樹林が一帯に広がっていました。このため、現在の布施山と布引山は一つの山系として捉えられ、全体が玉緒山(玉尾山)と呼ばれていたのではないでしょうか?

布施山と布引山の周辺に残る、玉緒・玉尾の山名の痕跡

寺院の山号

・玉尾山 円通寺(ギョクオザン エンツウジ)
  東近江市上羽田町596 

・玉尾山 願成寺(タマオザン ガンジョウジ)
  東近江市川合町950

・玉緒山 地福寺(タマオサン チフクジ)
  東近江市布施町288

・玉緒山 造福寺(タマオサン ゾウフクジ)
  東近江市石谷町490

・玉尾山 長福寺(タマオザン ジショウイン チョウフクジ)ン)
  東近江市大森町1483

・玉緒山 敬円寺
  東近江市蒲生町桜川西町444玉尾山浄光寺
  東近江市甲津畑町1245番地

・旧)玉緒山芝原寺(現)安楽寺
  東近江市柴原南町
  開基:正暦年中(990-995)天高魂尊の神孫玉緒判官慶?
神社

・玉緒神社
 東近江市川合町960
 大宝年間の勧請。中古は玉尾神社であったが、明治初年頃より玉緒神社となる。

和歌

・拾遺和歌集 巻5 賀 265 – 詠み人知らず
 「蒲生野の玉の緒山にすむつるの千とせは君かみよのかすなり
・夫木和歌抄 巻20 雑2 8410 – 葉室光俊 雑2 8410
 「今そ見る玉の緒山のふもとにてみちし蒲生の野辺のほたるを」

紀行文

・紹巴富士見道記(ジョウハフジミミチノキ)作者:里村紹巴
 「めぐりあはん玉の緒。山の裾野を別れゆくに。威德院能せし若衆を持来り給へり。
取々の盃杯に。一里餘りの道に日を暮らし。布施山の城の麓にて。」